実は多くの新規の患者さんは泣いて帰ります。これは感動したり、痛くて泣かれているのではありません。それはやっと道筋が付いた、腑に落ちたという涙なのです。
今回の電話も「診断して下さい」というご依頼でした。
来院された手には、パソコンで几帳面に時系列に沿って、治療の日付と内容や経過が箇条書きに書かれた紙をしっかりとにぎりしめていらっしゃいました。
始まりは去年の2月、かかっていた歯医者さんから根の消毒をしましょうという提案からだったそうです。当初は自覚症状もなかったのですが治療を開始し被せ物をした後に腫れて痛みが出たそうです。そのあと何度も何度も一年半にわたって通い続けたそうです。しかし、痛みと腫れは取れない。
しびれを切らして担当の先生に再度尋ねたところ「抜歯するしかない」との返事。
そこでセカンドオピニオンとして当院を受診した経緯となります。
最初に全体のレントゲンを撮らさせて頂きました。
どこがおかしいかわかりますか?
点線で囲んだ部分です、更にCTを撮影させて頂きました。
かなり「こじらせている」のが判ります。解説致します。
もう少し、よく観察しますと・・・
歯の中には、例によって折れ残った針
根の先には本来は根の管を封鎖する「ゴム」を押し出しすぎて
顎の骨まで突き出してしまっています。
それによって「感染源」となってしまっています。
ここで、現状を説明したところ抜歯を選択されました。
そこには、19ヶ月も悩んだ末の涙がありました。
さて、ではどこが敗因なのでしょうか?
1.説明と見通しがなかった。
もし、経緯がわるかったら必要以上に引き回さないで早めに説明、
相談をしたら一本の歯でこんなにも何十回も通わなくて
すんだと思います。この間どれだけ不自由で不安だったのでしょうか?
2.事前準備がたりなかった。
「隔壁」という、壁を作り、細菌が入り込まないように準備してから
治療に臨むべきだと思います。これでは消毒になりません。
また、仮の蓋さえしてない状態でした。
3.歯の中の感染したむし歯を取っていない
中のむし歯の部分を取らないと、お話にならないです。
患者さんは今より良くしてもらいたいと医療にかかるのです。
「やったふり」してお金をもらうだけの集金システムとして
保険医療があるのではありません。
肌色が根の中に詰める「ゴム栓」、黒い部分が感染している「むし歯」の部分です。
大事な事は目に見えません。一人で悩まずに一度ご相談下さい。
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